エスペランス22年間のあれこれ

エスペランスのこれまでの歴史について原始会員である東郷会員に尋ねてみた。
 
エスペランス結成前史
1978年に、船橋市東部公民館において、同公民館主催の作曲入門講座が開かれました。
 
その講師は、日本人離れした風貌で、若くハンサムではあるが、やや斜に構えた横顔を見せるという風で
 
した。それが若き日の岩崎知郎先生に対する第一印象です。
講座の中で、音出しのためにアルトのリコーダーを用意するように言われ、私(東郷)は初めてリコーダーを手にしました。
講座の終わり頃に、ドイツ民謡の「さよなら」を合奏しましたがとても楽しかったので、続けてリコーダーのサークルをやりませんかと私が呼びかけて、先生を講師にお願いしてサークルが発足しました。
15名ほどが集まり毎週一回東部公民館での練習が始まりました。
 
誕生の頃
当初のメンバーは、30から40歳代の女性で、2,3人上手な者もいましたが、大半の人は初めての経験です。その頃は、「ロングロングアゴー」とか「夜汽車」など易しい曲を取り上げて練習しましたが、楽譜は公民館の
 
「青焼き」
 
(ジアゾ式複写機)と呼ばれていたコピー機でコピーしましたが、アンモニア臭のある焼いたものを乾くのを待ってから使ったもので隔世の感があります。また、練習会場の予約のために、月初めに朝早くから公民館に並ぶのが大変なので、つてを頼って銀行の一室を借りたこともありました。
岩崎先生は、早くからリコーダーのアンサンブルを目指していらしたようで、私達もブロックフルーテというに相応しいアルトリコーダーや、また、ソプラノ、テナー、バスと各種のリコーダーも揃えはじめたものです。
 
最初の発表会と疾風怒濤の時
最初の発表会は、船橋市民ホールで開きました。
会員に「熱心な」方がいて駅頭でチラシをまいたりして大勢の聴衆が集まりましたが、どんな曲を演奏したか記憶にはありません。
しかし、その熱心な方がサークル内に不協和音を醸すようになり、
 
練習そっちのけで
 
口論する時が続くようになってしまいました。そんな悲しい時でも、岩崎先生はだまって聞いていらしゃいました。
 
新たな発足
そんな不毛な時に耐えられず、先生に他の日時の指導をお願い出来るかを伺ったところ、土曜日の午前中なら良いとのことでしたので、私を含め6,7人の者が高根台団地の集会所で練習を始めるようになりました。1982年頃のことです。
新たな環境の下、高根台では新しいメンバーも増え、楽しく練習ができるようになりました。
また、この頃から不定期に発表会的なものを行うようにもなりました。
 
命名「エスペランス」
そんな頃のある日、岩崎先生が「他にもリコーダーのサークルがいくつかあるので、このグループにも名前を付けたほうが良いのではないか。」と言われたのです。皆からは、知郎から
 
「トモロウ」
 
などの駄洒落に近い案もでましたが、私の提案した「エスペランス」に決着しました。
「エスペランス」はフランス語の"espérance"で、
 
「希望」
 
を意味しています。歩みは遅くとも希望をもって進んで行こうというわけです。エスペランスの名前の由来は時々尋ねられますがこういうことなのです。
 
エスペランスの今
1990年頃、薬園台公民館が出来たので、練習会場の本拠をここに移すことにしました。初めて男性のメンバーも加わりました。ただし、転居でやめる人もいましたし、加齢のため練習がきつくなったと言ってお辞めになっていった古い仲間もあります。
その一方で、私がお守りをしながら連れてきていた孫娘が、小学校4年からメンバーになり、皆に可愛がってもらいながら中学1年生の現在に至るまで楽しく吹かせてもらっているのは嬉しいことです。
今もなお精力的な岩崎先生は、毎年新しい楽譜や楽器を求めて外国へ行かれます。また、今年は招待されて独逸その他でブロックフルーテの指導者としてあちらこちらの学校で講師役も勤められた旨もお聞きしましたが、西欧に行かれる度に入手されてくる楽器、縦笛類だけでなく葦笛類や中世期の頃の鼓などを触ったり、また、
 
いく箱もの段ボール箱に詰められて送られてくるファクシミリ譜や印刷楽譜の山の中からいろいろな曲を時には厳しく教えていただけることなどが大変な楽しみ
 
です。
今年などは、バッハ没後250年にちなみ、大量に楽譜を蒐集されてこられたバッハの曲が何度も練習に取り上げられました。
エスペランスは、社会教育団体の認定も得られましたので、無料で公民館の使用が可能となっています。
1988年から始められた佐倉リコーダーフェティバルにも、必ず毎回参加して、千葉県下の他のアンサンブルの方たちと適度な緊張のもとで腕前を披露しあうのも良いものです。
先生は、
 
「息をしているかぎりリコーダーは吹ける。」
 
と言われます。今のメンバーは皆良い人達ばかりです。このアンサンブルが永く続き、また実りある発展を遂げることが私の切なる「希望」です。
 
演奏会で取り上げた曲
フェティバルで取り上げた曲には以下のようなものがあります。
        Fanfare          W. Byrd
        Momento Salutis Auotor     〃
        Agnus Dei          〃
        Ave Verum         〃
        Quientet         J. B.Laeillet
        Concerto 1        G.F.Handel
        Kleine Fugen BWV560   J.S.Bach
        Fugen 5   BWV874     〃
        The Teddy Bear's picnic    J.Bratton
        The Earle of Essex Galiard   John Dowland
        Semper Dowland semper dolens   〃